スタイル重視のスニーカーファンから、快適な日常履きを求める都会派まで、幅広い支持を集めているOnitsuka Tiger(オニツカタイガー)。
その中でも、現在人気の高いモデルといえば、1966年のトレーニングシューズをルーツに持つ「MEXICO 66(メキシコ66)」シリーズです。
当ブログでも以下の通りレビューをしてきました。
このメキシコ66には、オリジナルをベースにしたスタンダードモデルに加えて、現代的な履き心地へとアップデートを施したメキシコ66 SD(Super Deluxe)という上位モデルが存在します。
ぱっと見た印象では「どちらも同じに見える」というのが正直なところ。
ということで実際に「メキシコ66」と「メキシコ66SD」を購入し、比較してみました。
結果、よく似た両者には、細部の作りから履き心地に至るまで、明確な違いがあることが分かりました。
本記事では、両者の違いをあらゆる角度から徹底比較し、「どちらを買うべきか?」という問いに対して、個人的な見解にはなりますが、明確な答えを提示したいと思います。
類似する二者
以下画像のように、両者は一見非常によく似たモデルとなっています。
前提として、外観のシルエットやデザインはほぼ共通なのは間違いありません。
細身でシャープなトゥ、サイドを彩るオニツカストライプ、かかとのクロス補強など、メキシコ66の象徴的なディテールは両モデルともに健在。
遠目にはほぼ見分けがつかないほど、デザインは踏襲されています。
しかし、目を凝らせば、そして足を入れてみれば、両者の「中身」が全く異なることに気づくはずです。
この点を次項から解説していきます。
「メキシコ66」と「メキシコ66SD」の違い
シューレース
まずはシューレース(靴紐)です。
- メキシコ66:定番のポリエステル製の平紐。
- メキシコ66SD:細く、ミニマルかつスポーティな印象。
メキシコ66は、いわゆる大定番、どこでも見かける編みが目立つ平紐ですが、SDだと細紐になり、かなりスマートかつスポーティな印象です。
平紐であれば見慣れた印象ですが、細紐だとちょっと定番のスニーカーとは差別化できているように思います。
ハトメ(アイレット)
シューレース繋がりで、お次はハトメ(アイレット)の違いについてです。
- メキシコ66:革に直接穴を開けたクラシックな無金属仕様。ヴィンテージ感はありますが、耐久性はやや控えめ。
- メキシコ66SD:最上部2つに金属製ハトメを採用。耐久性が高く、シューレースの滑りも良いため、着脱がスムーズになります。
これもまた軽微な違いですが、メキシコ66SDは最上部のみ金属製ハトメとなっています。
最も負担がかかる最上部の耐久性向上の他、デザインのアクセントとしても成立しています。
シュータン
外観からは分かりにくいですが、シュータンの構造も若干違います。
- メキシコ66:レザー+スポンジでボリュームのあるタン。
- メキシコ66SD:表裏ともにレザー仕様。
メキシコ66は裏側にスポンジが採用されており、足の甲の部分にスポンジがフィットし、タンのボリュームを感じます。
一方、SDは表裏共に薄いレザーで作られており、ミニマルな仕様です。
履いた感じ、実はそこまで差は感じませんが、フィット感という意味ではメキシコ66の方が良いかもしれません。
ソール(厚み)
ソールの厚みは、上記画像の通り全く異なります。
- メキシコ66:ミッドソール・アウトソールともに薄め。
- メキシコ66SD:ミッドソール・アウトソールともに厚め。
メキシコ66とSDの違いを語るうえで1つ大きいのが、まずこのミッドソール・アウトソールの厚みです。
メキシコ66のレビューでも書きましたし、一般的にそう認識している方も多いはずですが、メキシコ66の欠点はソールのボリューム感の無さにあると思います。
このボリューム感が無いことが、メキシコ66は「疲れやすい」だとか「履き心地が悪い」だとかマイナスの印象を与える要因となってしまっています。
その弱点を解消したのがまさにこのSDで、写真で見て分かるように明らかにソールが厚く、当然ながらその厚さは履き心地向上に寄与していることは言うまでもありません。
ソール(形状)
アウトソール(靴底)にも若干の違いが見られます。
- メキシコ66:1960年代のオリジナルを再現した極薄のラバーソール。全面でフラットな設計。
- メキシコ66SD:より現代的な立体的グリップパターンのアウトソールを採用し、地面をしっかり捉える構造に。
メキシコ66は立体的な凹凸が均一で靴底全面に採用されています。
一方で、SDは写真の通り靴底の場所によって違ったパターンが採用されています。
これは、足の負荷・加重の程度によって場所ごとに違った構造とすることで、履き心地
の向上に繋がっています。
インソール
インソールも当然異なります。
- メキシコ66:薄いフラットなインソールを採用しており、軽量でクラシカルな履き心地。ただし衝撃吸収性にはやや難あり。
- メキシコ66SD:オーソライト製のカップインソールを搭載。クッション性・通気性・反発性全て向上。
繰り返しになりますが、メキシコ66における負のイメージは「ソールが薄く疲れやすい」ということ。
そのマイナスポイントを、SDはミッドソール+アウトソールだけではなくインソールでも改善しています。
優れたカップインソールにより、土踏まずやかかとをしっかり支える立体構造で、履き心地が飛躍的に向上しています。
このインソールは通常のメキシコ66とは段違いに厚みを感じます。
上記写真で確認いただきたい点は、インソール表面から履き口までの距離。
メキシコ66に比べ、メキシコ66SDは履き口までの距離が短いのが分かるかと思います。
距離が短い=インソールが厚いということであり、このインソールの差は、通常のメキシコ66の弱点を克服しているという点で、かなり大きな差だと言えるでしょう。
重量
最後に重量についてです。
- メキシコ66:約242g(片足)
- メキシコ66SD:約232g(片足)
意外に思われるかもしれませんが、SDの方が軽量に仕上げられています。
スタンダードモデルがクラシックな構造を維持しているのに対し、SDは最新の軽量素材を導入。
たった10g弱の差とはいえ、持った時の印象としては明らかにSDの方が軽く、履いた瞬間の軽さにも驚きました。
SDのこの軽量性は、「少しでも疲れにくい靴を履きたい」「長時間歩いても足に負担をかけたくない」という人にとって、非常に重要な選択基準になるでしょう。
価格差は約〇〇円
両モデルの定価(2025年7月時点)は以下の通りです。
- メキシコ66:15,400円(税込)
- メキシコ66SD:18,700円(税込)
価格差は税抜きで3,000円です。
この価格差をどう考えるでしょうか。
見た目はほぼ同じ。
履き心地はSDが圧倒的に快適。
しかも耐久性・軽量性・細部の作り込みすべてにおいて上。
これだけの差を考えると、この価格差は個人的に「たった」3,000円と感じています。
単純な定価こそSDの方が高くはなってしまいますが、疲れに直結するスニーカーである点を考えれば、改善が多々加えられたSDの方がコスパが良いと言えるのではないでしょうか。
前述のように細部にデザインの違いありますが、それが気にならないのであれば、個人的にはSD一択だと思います。
まとめ
オニツカタイガーの人気モデル、メキシコ66とメキシコ66SDの比較を行いました。
個人的な意見として、人に勧めるのであれば、迷わず「SD」モデルを選びます。
上記のうち、④~⑥が特に顕著で、メキシコ66の弱点を見事克服しています。
「どうせ買うなら長く、快適に使いたい」。
そう思うのであれば、選ぶべきはMEXICO 66 SDではないでしょうか。