今では落ち着きを見せましたが、去年~今年のアディダス サンバのブームは凄まじいものがありました。
例えばアディダスに限らず他メーカでも、コラボものが即完売・大人気ということは少なくありません。
しかしながら、サンバについてはOG(オリジナル)が大人気で、流通量が多いはずにも関わらず、売り切れが続出していました。
とはいえさすがにインラインの商品なので供給が追い付いてきたようですね。
adidas sambaについて
本題に移る前に、このブームを引き起こしているサンバというモデルについて振り返ってみます。
公式サイトの記述によれば以下の通り。
adidas OriginalsのSambaは、50年以上にわたって世界中の人々の心を魅了してきたアイコニックなスタイルを持つ。一般に信じられていることとは異なり、Sambaは当初、ワールドカップのために作られたわけでも、ブラジルのダンスに直接インスパイアされたわけでもない。それどころか、1950年代のドイツで行われたサッカーの試合から生まれたもので、氷の張ったピッチでの卓越したパフォーマンスから、「サンバ 」というニックネームが生まれた。
(https://shop.adidas.jp/blog/article/2023103103/)
情報源によっては、"ブラジルワールドカップにちなんだ"とか"ワールドカップのために作られたサッカーシューズである"とか書いてあったりするようですが、どうやらそうではないらしいです。
つまるところ、大きな背景があって生まれたシューズではないようですが、それでも約70年の長い歴史を持つスニーカーです。
アディダスといえば過去にはスタンスミスが大ブームになったこともありますし、定期的にブームを引き起こすモデルが存在するブランドであると感じますね。
空前のサンバブーム
さて、昨今のサンバブームについては個人的に"なぜここまで?"というほど驚きはありませんでした。
というのも、たしかにこのサンバというモデル、ニューバランスやサロモン等のハイテクスニーカーと比べるとずっと(ファッションとして)合わせやすいからです。
ローテクは本当にパンツのシルエットを選びませんし、いい意味でそこまで存在感が無いというのが◎
あまりに主張が激しいスニーカーは、それが中心となってしまい、コーディネートが難しくなります。
そしてサンバOGは、値段も約15,000円と手頃な点も非常に嬉しいポイントと言えるでしょう。
個人的にあまりマイナスポイントが見当たりませんが、強いて挙げれば、やはりこの空前のブームにより"人と被ることが多い"という点でしょうか。
気にならない人もいるかもしれませんが、私はどうしてもそこが気になってしまい、ローテクスニーカーが好きとはいえずっと手出しできずにいました。
そんな中、見た目があまりにも私好みである一品を見つけ、ようやくサンバの購入に至りました。
それが今回レビューするWales Bonner(ウェールズボナー)とのコラボレーションモデルです。
Wales Bonner
Wales Bonner(※以降WBと略)はロンドン発のブランドで、デザイナーは女性、デビューは2015年と、比較的新しいブランドです。
当ブランドの衣類は私自身保有しておらずそのブランドの特徴は言及しかねますが、とにもかくにもアディダスと数度のコラボレーションを発表している模様。
その中の一つが、今回レビューするサンバですね。
adidas x WB samba "nubuck"
ヌバックアッパーが特徴的な当モデルは2023年6月に発売されたものです。
当時、同時発売されたシルバーのモデルが大変人気だったこともあり、実はこのモデルの入手難度はそれほど高くはありませんでした。
※事実、海外であれば簡単に買えました。
早速、写真を交え紹介・レビューしていきます。
ぱっと見でわかる最大の特徴はやっぱりこのシュータン。
このタンのデザインに関して、今ではインラインでもLTと称され、展開がされています。
さて、このタンは存在感が強すぎて一見コーディネートの邪魔をしそうですが、実はそんなことはありません。
長さがあるとはいえタン自体の厚みは抑えられていますし、このモデルに関しては色味もブラウンで落ち着いておりその色もソールと同色であるから統一感もあります。
そもそものモデル自体がサンバというローテクスニーカーなので、実はパンツの裾が大きくクッションしてストリートテイストが強すぎてしまうということには決してならず、むしろ程よいアクセントとして成立します。
タンをパンツの外に出すというのはちょっと昔のナイキのハイカットでよく見られた着こなしですが、それとこれとは全く異なります。
このように横から見れば、タンの存在感は意外と薄く、通常のサンバと形は同じであるからその合わせやすさは言わずもがな、というのは理解いただけるかと思います。
インラインのモデルでは、サイドのライン横に"samba"とモデル名が入りますが、このモデルではヒール付近に"Wales Bonner"の刻印が入ります。
このさりげなさ、素敵ですね。
どうしてもタンに目が行きがちなこのモデルを語るうえで欠かせないもう一つの特徴が、このヒール付近のクロシェ編みです。
クロシェはフランス語で"かぎ針編み"を指し、ボヘミアンな印象を与えるデザインとなっています。
WBのデザイナーはジャマイカ系イギリス人であり、本モデル(を含むコレクション)がジャマイカから着想を得たものである点から、こういったデザインが採用されたと言われています。
クロシェ自体、数年前から女性ファッションの間ではブームとなっていますし、実はメンズファッションにおいてもその流れは来ていますね。
昨今では大人気オーラリーでもメンズでクロシェアイテムがリリースされています。
現時点での未だ多くは浸透していませんが、ここ数年でより多くのブランドがクロシェを採用したメンズアイテムをリリースすることも予想されます。
とにもかくにも、ローテクスニーカーにこういった繊細なデザインが宿っている点に非常にデザイン性・美しさを感じています。
アッパーは前述の通りヌバックで、白ではなくこのヌーディーなベージュというのもいいですね。
レースやラインの色味も派手な黄色ではないので、総じて落ち着きのあるグラデーションに仕上がっており、そういった点もこのアイテムの使いやすさを象徴していると思います。
総評
昨今のサンバブームの中でリリースされた、WB samba "nubuck"についてレビューしました。
最大の特徴であるシュータンの存在感に目が行きがちですが、実はそのシュータンの造りであったり、目立たない箇所のクロシェ編みであったり、デザイン性は極めて高い1足と言えるでしょう。
ブラウン/ベージュ/淡いイエローで構成されたカラーグラデーションは、比較的パンツを選ばない点も優秀であると感じています。
定価は30,800円とOGのちょうど2倍でしたが、その価値は正直に言って十二分にあると感じていますし、今後はむしろ二次流通で値段がどんどん上がっていく可能性すらあります。
WBのコラボモデルはこれに限らず色々リリースしているので、気になる人はぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。