私自身、ドメスティックブランドを中心に数多のブランドアイテムを着用・保有してきた自負がありますが、その中でも一時期ハマっていたのがこのEngineered Garments(エンジニアドガーメンツ)というブランドです。
1990年代設立と歴史は長く、それでも今も人気を博すブランドです。
本記事ではそんなエンジニアドガーメンツについて解説していきたいと思います。
ENGINEERED GARMENTS
Engineered Garmentsは、日本人デザイナー鈴木大器氏が1999年に設立したアメリカを拠点とするファッションブランドです。
ブランド名は、「エンジニアのような精密な設計」を目指して付けられており、アメリカのワークウェアやミリタリーウェアの伝統的なデザインに日本的な繊細さを融合させているのが特徴です。
デザイナー鈴木氏は青森県出身で、1980年代にセレクトショップ「NEPENHTES(ネペンテス)」でキャリアをスタート。
その後、アメリカに移住し、ニューヨークを拠点として活動を続けました。
Engineered Garmentsは、ネペンテスのニューヨーク支店の一部として設立され、現在もネペンテスの影響が強く残るブランドです。
したがって、このエンジニアドガーメンツというブランドを知るうえで、ネペンテスというショップがキーとなってきます。
NEPENTHESとの関係
NEPENTHESは、日本発のセレクトショップおよびファッション企業の名称であり、Engineered Garmentsはその傘下にあるブランドの一つです。
NEPENTHESは1988年に設立され、セレクトショップとしてスタートしました。
アメリカや日本のワークウェアやアウトドアスタイルに影響を受けたファッションを得意とし、現在ではオリジナルブランドも展開しています。
Engineered Garmentsは、NEPENTHESの一部として運営、同社のリソースやネットワークを活用しており、NEPENTHESの直営店では、Engineered Garmentsのアイテムが多数扱われています。
特徴と魅力
Engineered Garmentsのアイテムには以下のような特徴と魅力があります。
1. 「アメリカ製」へのこだわり
ほとんどのアイテムがニューヨークで製造され、伝統的な仕立て技術と現代的な感覚を組み合わせています。
これは、ブランドのコンセプトである「アメリカのクラシックウェアを現代的に再解釈する」というテーマと密接に関連しています。
アメリカのワークウェアやミリタリーウェア、アウトドアウェアといった伝統的な衣服に強い影響を受けており、その本場であるアメリカでの生産がブランドの価値を高めています。
また、そもそもブランドの拠点がニューヨークにあり、デザイナーの鈴木大器氏がニューヨークの文化やスタイルからインスピレーションを受けており、現地生産はそのコンセプトの具現化に繋がっていると言われています。
ドメスティックブランドといえば多くが中国製または日本製のアイテムですが、Engineered Garmentsは非常に珍しいアメリカ製。
この点は他ブランドとはっきり異なる点であると言えるでしょう。
2. 多種多様なデザイン
アメリカのワークウェア、ミリタリーウェア、アウトドア、テーラードウェアといったクラシックなスタイルをベースに、モダンな感覚を加えています。
伝統的なスタイルは踏襲しつつも、そこにブランドとしての要素が加わることで、オリジナリティがあるデザインに仕上がっています。
例えば、各アイテムには複数のポケットが取り付けられていたり、異素材が組み合わせされていたり、ユニークなアプローチが採用されています。
こういったディティールがトップス、パンツ、アウター等、多くのカテゴリに採用されており、非常に多種多様なアイテムが展開されています。
そしてこれらアイテムがブランド名の「精密な設計・巧みな設計」の通り、細部に至るまで綿密に設計されています。
見た目以上もさることながら実用性も重視し、着心地や機能性が追求されています。
3.シーズンごとのテーマ性
シーズンごとに異なるテーマを設定し、新鮮なコレクションを展開。
これにより、定番的なスタイルでありながらも飽きの来ないラインナップを実現しています。
例えば、後述しますが基本的にEngineered Garmentsのアイテムはほとんどが定番アイテムで構築されています。
したがって、毎シーズン同じようなテイストのアイテムではファッション愛好家にはすぐに飽きられてしまうでしょう。
こういった点において、柄や素材を変えることによって、同様のアイテムながら毎シーズン新鮮な目線で見ることができるのも、このブランドの特徴だと思います。
例えば同じジャケットでも、コットン、コーデュロイ、ベルベット、総柄、デニム等々の素材を変えたり、無地だったり花柄だったり、あるいはシーズンによってサイズが若干異なったり、毎度毎度目新しさを提供してくれます。
4.レイヤードスタイル
Engineered Garmentsはレイヤードスタイルを得意とするブランドとして知られています。
ビッグシルエットが主流となっている中、アイテム自体ジャスト目に作られていること、そしてシャツやベストからアウターに至るまで、複数のアイテム展開していることで、同ブランドのアイテムを重ね着しても自然に見えるように考え抜かれています。
また、レイヤードの際に、その独自のデザイン性(アシンメトリー、ポケットの配置等)がアクセントとなり、スタイルに視覚的な深みを生み出します。
前述の通り、多種多様な素材で展開されているので、異なる素材感を組み合わせたレイヤードも可能です。
例えば、コットンのシャツの上にウールのベストやコーデュロイのジャケットを重ねるといったスタイルも人気です。
また、単色のカラーバリエーション、総柄のバリエーションも豊富で、同系色のトーンオントーンでまとめたり、異なるパターンをミックスして個性を出したりできる点も、このブランドの特徴だと言えるでしょう。
5.柄・色の個性
アイテムとしてはベーシックなデザインが多いものの、そのアイテムに使われる柄や色が非常に個性的であり、これがその他のブランドには見られない大きな特徴です。
花柄、ボタニカル、ペイズリーといったベーシックな総柄から、過去にはエレファントプリント、イルカプリント、アフリカンプリント等々、非常に個性的な柄もリリースされました。
そしてアイテムが単色だとしても、赤や青といった原色が使われることも少なくないので、非常に個性的なアイテムが揃います。
ベーシックなアイテムを柄物で表現するドメスティックブランドは少なくありませんが、ここまで個性的な柄を採用するブランドはあまり見かけません。
上記をまとめた、Engineered Garmentsを象徴するスタイルが以下のようなイメージです。
上記はまさにガーメンツを象徴するレイヤードスタイルです。
インナー(シャツ)、その上にプルオーバー、その上にベストで最後にジャケット。
定番の合わせだと言えるでしょう。
何ならこの上にロング丈のコートを羽織ったりもしちゃうのがEngineered Garmentsのレイヤードです。
これもガーメンツの個性が出ていますね。
ジャケパンとタイといったトラッドなアイテムながら、柄/レイヤードで個性を出しています。
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総じてこんなイメージですね。
アイテム自体はベーシックですが、その色味/柄は他ドメスティックブランドでは中々見かけないパターンであり、それを更にレイヤードすることで、Engineered Garmentsでしか出せない魅力となっているように思います。
人気・定番アイテム
前述の通り、Engineered Garmentsからリリースされるアイテムの大多数はジャケットやパンツといったトラッドなアイテムです。
そして各アイテムには固有の名称が付けられているのですが、ガーメンツにおいてはその固有名称のアイテムがあまりに多いので、下記に一部をご紹介します。
ジャケット類ではブランドを代表するアイテム、Bedford Jacket(ベッドフォードジャケット)をはじめとして、NB Jacket(エヌビージャケット)、Loiter Jacket(ロイタージャケット)、Andover Jacket(アンドーバージャケット)あたりが有名です。
ジャケットとはいえワークテイストがミックスされておりカジュアルに着られるので、ジャケットが苦手な方でもすんなり着られると思います。
まずはベッドフォードジャケットから始めるのが吉でしょうね。
シャツでは19th Century BD Shirtが有名で、その名の通り19世紀のシャツをモチーフに、クラシカルなデザインで作られています。
あとはミリタリーをモチーフとしたフード付きプルオーバーシャツであるCagoule Shirt(カグールシャツ)も人気。
そしてEngineered Garmentsといえばベストの種類が豊富なのも特徴でしょうか。
Fowl Vest(フォールベスト)、Field Vest(フィールドベスト)、Over Vest(オーバーベスト)、Cover Vest(カバーベスト)など多岐にわたり、フードが付いたりプルオーバーだったり極端に短丈だったりと本当に多種多様。
全体的にアウトドアのテイストを踏襲しているものが多く、見た目はもちろん機能面でも優れたアイテムだと言えるでしょう
他にもパンツやアウター、アクセサリー類ではスカーフやネクタイ、帽子等々をリリースしており、まさにトラッドアイテムは一通り揃う印象です。
一方でスウェット類であったり、ニット・カーディガンだったり、そういった類のアイテムはあまりリリースされてないのも一つ特徴ですね。
サイズ感
サイズ感はアイテムによって異なりますが、ジャスト~わずかにゆったり目な印象です。
昨今のブランドと比較すればジャスト寄りだとは思います。
ガーメンツはあくまでジャケット等のトラッドなアイテムが多く、さらにはレイヤードすることも考えられているので、オーバーサイズのアイテムはほぼありません。
また、サイズ展開はメンズでXS~XLと広いのも嬉しいポイントで、体型問わず多くの人が着られるようになっています。
価格帯
価格帯ですが、個人的には高めである印象です。
例えば代表的なベッドフォードジャケットは素材によって異なりますが、大体4万円~10万円程の価格帯。
ナイロンやコットン系であれば比較的抑え目な価格にはなりますが、ウール等の素材だと、パンツやベスト類でもかなり高価になってしまう場合もあります。
コラボ・別注
Engineered Garmentsは、多くのブランドとのコラボレーションを行ってきました。
特にシューズブランドが多く、CONVSERSE(コンバース)、VANS(バンズ)、Alden(オールデン)、Tricker's(トリッカーズ)、HOKA ONEONE(ホカオネオネ)、KEEN(キーン)、Dr.Matens(ドクターマーチン)、Reebok(リーボック)、Paraboot(パラブーツ)などなど、挙げればきりがないほどの別注アイテムがあります。
ウェアで言えば、Barbour(バブアー)との別注が有名ですが、どちらかというとBEAMS(ビームス)やCHARCOAL(チャコール)等のセレクトショップ別注のアイテムが多いですね。
そして欠かせないのがUniqlo(ユニクロ)とのコラボ。
特にフリースアイテムが人気で、非常に話題となりました。
2024年末に復刻されるということで、最近ではまたガーメンツの名を聞くようになりました。
ユニクロでリリースされるフリースジャケットは素材の切り替えが特徴的で、まさにこれはガーメンツを象徴するデザインです。
ジャケットはもちろん、シューズ類でもこのような切り替えのアイテムが多数リリースされてきました。
総評
ENGINEERED GARMENTS(エンジニアドガーメンツ)についてその特徴・魅力を解説しました。
まとめれば、「アメリカ製にこだわり、ジャケットやパンツ、ベストやシャツといったトラッドなアイテムを多く展開しているブランドで、その素材や色使い・柄使いが特徴である」印象を持っています。
レイヤードを得意とするのも忘れてはいけない特徴ですね。
私自身、ジャケットは好きなのですがどうしてもドレスっぽい印象になるのが苦手だったのですが、ガーメンツのベッドフォードジャケット、ロイタージャケットはカジュアルに着られるのでそれが大きな魅力だと思っています。
また、昨今ありがちな丈が長すぎる、アームが太すぎるといった「テーラードジャケットのベースから逸脱したビッグシルエット」ということもないので、飽きずに着ることができます。
探すと意外と見つからない、ベストが多く展開されているのも個人的には好きで、「ベストを探すならまずはガーメンツ」と頭にあるほどです。
数多あるドメスティックブランドでも根強い人気を誇るガーメンツ、非常におすすめなブランドです。
余談ですが、エンジニアードガーメンツよりエンジニアドガーメンツの方が「表記」としては一般的なので迷っている方はぜひ後者を使いましょう。(どっちでもいいと言われればそれはもちろん正論です)