メンズファッションにある程度興味のある方なら一度は耳にするであろうシューズブランド、Paraboot(パラブーツ)。
セレクトショップでの取り扱いも多く、また後述の通り人気も高いことから、過去を遡っても人気が無かったシーズンの方が少ないと思われるほど大定番のブランドです。
一方で、私が初めて購入した10年以上前と比較すると、全てのモデルが複数回値上げされてきており、価格帯も高めになってきました。
今後の価格帯次第では離れる人もいるかもしれませんが、それでもモノ自体は確かなので、完全に着用者がいなくなるというのは考えにくいというのが個人的見解です。
本記事では、そんなパラブーツの各モデルについて解説、おすすめモデルを紹介したいと思います。
Michael
まずはパラブーツ大定番のMichael(ミカエル)。
1945年、元々は山岳地帯での使用を想定したモデルですが、そのユニークなデザインと耐久性で日常履きとしても人気となり、現在もパラブーツを象徴するモデルと言えるでしょう。
いわゆるチロリアンシューズで、丸みを帯びたフォルムとボリューム感は、革靴とはいえカジュアルコーデにも抜群に馴染みます。
逆に言えば若干かわいらしいデザインでもあるので、ドレス的に履きこなすのであれば他モデルの方がいいかもしれません。
また、ミカエルはそのアッパーに色々な素材が使われることが過去ありました。
例えばアザラシの毛を使ったミカエルフォックやうさぎの毛を使ったミカエルラパン、ミカエルポニーなどがあります。
特にミカエルフォックは現在でも人気が高いとされているモデルです。
当然、こういったモデルを作るには対象の動物の狩猟が必要になるわけで、毛皮を使った衣類もそうですが、一昔前からこういった狩猟に対して世間が否定的になってきました。
そういった流れもあり、最近では特殊な毛を使ったミカエルを見る機会は減ってしまいましたが、気になる方は二次流通で探されることをお勧めします。
Chambord
続いてChambord(シャンボード)。
個人的に、前述のミカエルと人気を二分するモデルだと思っていて、こちらもとにかく大人気かつ大定番のモデルです。
ミカエル発売後、約40年経った1980~1990年代にリリースされたシャンボードは、外羽根のUチップデザインでドレスシューズ感が強く、ミカエルに比べてややドレッシーな印象を与えます。
一方で、一般的にはカジュアルとされる外羽根ですしパラブーツらしいボリューム感はしっかりとあるので、デニムやチノのような王道のカジュアルスタイルにも抜群に合います。
まさに、ドレス・カジュアル両方に対応する万能なモデルだと言えるでしょう。
カジュアルに振りたいならミカエルで、ドレススタイルorカジュアルスタイルでも綺麗目にいきたいのであればシャンボードがおすすめですね。
Avignon
続いてはAvignon(アヴィニョン)。
ミカエルやシャンボードと比較すると、やや人気というか知名度の面では劣る印象のあるアヴィニョンですが、理由はその作り・デザインにあるでしょう。
大人気シャンボードによく似たデザインである一方で、シャンボードに比べ甲が低くノーズがシャープであり、かなりドレス寄りになっています。
Uチップ先端の縦のステッチも、ビジネスシューズ感をより強めていますね。
ここまでくるとカジュアルというよりはビジネス・フォーマルに寄ってしまうので、用途が限定的になってしまい、シャンボードほどの万能性は薄れてしまう印象です。
言い方を変えれば、ビジネス・フォーマルに特化した用途であればシャンボードよりドレッシーなアヴィニョンはおすすめです。
ただし、あくまで外羽根でありUチップでもあるので、しっかりとしたビジネスシューズが欲しいのであれば、他ブランドも含め選択の余地はあるといえるでしょう。
| シャンボード | アビニョン | |
|---|---|---|
| つま先形状 | 丸みのあるUチップ | シャープなUチップ |
| シルエット | ボリューム感あり | スリムかつスマート |
| 汎用性 | ドレス・カジュアル | ややドレス寄り |
William
靴紐が無いダブルモンクストラップデザインで、フォーマル寄りの雰囲気があるWilliam(ウィリアム)。
ウィリアムは元々、JOHN LOBB(ジョンロブ)からリリースされていたモデルであり(パラブーツにOEMで発注)、その後廃番となりました。
しかしその人気の高さ故復刻、パラブーツのモデルとして正式ラインナップされるに至るという背景があるモデルです。
ウィリアムは何といってもシンプルながら存在感のあるダブルバックルが特徴で、紐靴にはないスマートさと、足元にアクセントを加える個性的なデザインとなっています。
ダブルモンクは少々クラシックな印象もありますが、このモデルもまたパラブーツ独特の外観により上品なシューズとして仕上がっているのではないでしょうか。
Barth
ちょっと趣向を変えてご紹介するのはBarth(バース)。
パラブーツの特徴と言えばその重厚さ、ボリューム感が挙げられますが、こちらはそれと相反するようなモカシンシューズ。
昨今では効かなくなりましたが、”デッキシューズ”とも呼ばれる形ですね。
その名の通り、船の甲板(デッキ)で使用するための靴であり、滑らないソールであったり、頑丈さもありながら、見た目通りの軽快さもあるシューズです。
靴単体の外観としては、伝統的な2アイレットのモカシン構造と、サイドに施されたレザーのレースディテールが特徴でしょうか。
前述の通り、ボリューム感が特徴のパラブーツの中では異色ともいえる存在ですが、一方でそのボリューム感が苦手だという人にピッタリだと思います。
足元をすっきり見せるスマートなフォルムであり、そしてデッキシューズなので、短丈のパンツやショートパンツとは相性抜群ですね。
価格も4万円台と、例えばミカエルやシャンボードと比べると半額程度なので、その点も強い魅力です。
パラブーツ PARABOOT デッキシューズ バース (BARTH)
- 価格: 39710 円
- 楽天で詳細を見る
Photon
こちらも知名度は低めながら、実はかなりオススメなPhoton(フォトン)。
シューレース(靴ひも)が無いスリッポンタイプのレザースニーカーのような革靴です。
シューレースが無いことでカジュアルに見えがちですが、一方でややシャープなプレーントゥはビジネスシューズライク。
ドレス・カジュアルの中間を狙ったデザインで、現代のライフスタイルにフィットするシンプルなモデルとして人気があります。
パラブーツは存在感のあるステッチも特徴の一つであるとは思いますが、そういった装飾もなく、とにかくシンプルさを追求したデザインです。
革靴にも関わらず、着脱が非常に簡単で、足入れの快適さも魅力ではないでしょうか。
とにかくシンプルなプレーントゥが欲しい、あるいは革靴が欲しいけど着脱が億劫だという人に最適なモデルだと思います。
Reims
シューレースが無い靴繋がりでお次はReims(ランス)。
ローファータイプです。
冒頭にて紹介したミカエルをベースに開発されたシューズで、ミカエルが1945年に誕生したのに対して、ランスは1980年代に発売されたもの。
フランス北東部の都市「Reims(ランス)」から名付けられたこちらのモデルは、1980年代から現在に至るまで、パラブーツの中でも長く愛され続けるモデルとなっています。
ローファーといえばミニマルで、スリッポンのようなボリュームを抑えた外観が特徴ですが、パラブーツのソレは正反対。
分厚いソールにボリューミーな外観は、ややフォーマルな雰囲気が出てしまうローファーをカジュアルな一足に昇華させ、幅広く対応できる万能さを持ちます。
同じくフランスで有名なシューメーカ、J.M.Weston(ジェイエムウエストン)のシグネチャーローファーと比較すると、同じローファーなのに全く外観が異なるのが面白いです。
フォトンもランスも同じ紐無しシューズですが、いわゆる定番のローファー型であるランスの方がややドレッシーかと思います。
※あくまで双方を比較すれば、という話で、前述のように一般的には他ブランドのローファーの方がスマートでドレス感は強いです。
フォトンに比べ、履き口も当然ローファータイプのランスが広く、踵が抜けやすいというデメリットがある一方で、ソックスを見せることができるので、コーディネートの幅は広がりますね。
Pacific(パシフィック)
最後に紹介するのはサンダルであるPacific(パシフィック)。
2000年代初頭に登場したグルカサンダル・グラディエーターサンダル風のデザインで、パラブーツの中でも数少ないサンダルの一つです。
サンダルと言えばどうしてもカジュアルな印象から抜け出すのが難しいイメージですが、こちらは革靴メーカが出すサンダルということでその心配は無用。
素材はもちろんレザーである一方で、アッパーが編み込み仕様なので、高級感・快適性・機能性を兼ね備えた一足だと言えるでしょう。
足首部分にはモンクストラップがあることで、フィット感の調整が可能である点も高ポイント。
サンダルでは中々味わえない”革の経年変化”も体験できるのも嬉しい点ではないでしょうか。
パラブーツ初心者にお勧めなのは、、、
初めてパラブーツを買うという人にお勧めしたいのはやはりミカエルかシャンボードですね。
両モデルともあまりに大定番ですが、結局のところ奇をてらわずにこのあたりを選ぶのが正解だと思います。
そしてこの二つの中でも、個人的にはシャンボードです。
理由はやはりドレス・カジュアル両方に使えるデザインであるということ。
ミカエルも良いのですが、やはりチロリアンシューズなので、合わせ方によっては子供っぽ雰囲気にすらなってしまいます。
その点シャンボードは、よりプレーンなデザインで、カジュアルスタイルでも足元に品が出ます。
私個人、以前は両方所有していましたが、ミカエルは飽きて途中で手放してしまいました。
実を言えばシャンボードも履く機会は激減したものの、それでも手放したくはない、飽きのこない素敵なデザインだと感じています。
まとめ
メンズファッションにおける大定番革靴ブランド、Paraboot(パラブーツ)についてまとめました。
パラブーツといえば、私が購入した当時(10年ほど前)はシャンボードが5万円台で、コスパが良い靴といった世間の認識でした。
それが今や10万円に迫る価格となり、単純に”安くて良い靴”とは決して言えないところまで来てしまった印象があります。
しかしながら、価格が上がったとはいえ、”モノとしての良さ”があることに変わりはなく、私個人としてはいまだにパラブーツは良い革靴だと思っています。
もちろん、人に勧められるほどのブランドだと思っています。
どうしても見た目の重厚さゆえに、敬遠してしまう人もいるでしょうが、実は履いてみると意外とすんなりハマってくれます。
今回紹介した8モデルはいずれもおすすめなので、気になる方は是非。



