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服好きの独り言

ユニクロのカシミヤは何故安く、ハイブランドのカシミヤは何故高いのか?

カシミヤは、軽やかで柔らかく、寒い冬を贅沢に彩る素材の代名詞。

そんなカシミヤでも、ユニクロで1万円前後のセーターが手に入る一方、Loro Piana(ロロピアーナ)やJohnstons of Elgin(ジョンストンズオブエレガン)などの高級ブランドではニット・セーター類が10万円前後、コートともなれば数十万円もすることは珍しくありません。

昨今、ドメスティックブランドでもカシミヤセーター・カーディガンは10万円近くなってきました。

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この価格差は、よく「ブランド料」なんて簡単な言葉で片付けられてしまいますが、実際には素材のランク・生産背景・加工技術などなど、色々な要素に裏付けられています。

本記事では、ユニクロとハイブランドのカシミヤの違い、なぜ価格差が生まれるのかについて徹底的に解説します。

原料は同じでも「繊維のランク」が決定的に違う

ユニクロもハイブランドも、基本的には同じカシミヤ山羊の毛を使用しています。

主な産地はモンゴルや中国内モンゴル自治区の高地で、過酷な寒さが繊維を細く柔らかく育てます。

ただし、ここで重要なのが「Grade A〜Cの繊維ランク」です。

◆繊維ランク◆

Grade A:直径約14ミクロン、長さ36mm前後。非常に細く長いため、光沢・保温性・耐久性に優れる。

Grade B:直径約19ミクロン。十分な柔らかさはあるが、耐久性はやや劣る。

Grade C:直径約30ミクロン。安価な大量生産用で、硬さや毛玉の出やすさが特徴。

ハイブランドはGrade Aのみを徹底選別し、それを贅沢に使用しています。

一方、ユニクロなどの低価格ブランドは短い繊維や太い繊維も組み合わせることでコストを下げています。

これが大前提、大きな差を生む理由です。

同じカシミヤでありながら、ある意味では素材のクオリティは全く異なるということになります。

ユニクロのカシミヤが安い理由

大規模生産によるコスト削減

ユニクロは、その企業規模故サプライチェーンを徹底的に管理しています。

中国やベトナムなど労働コストの低い工場で、尚且つ効率的な大量生産を行うことで原価を抑えています。

仕上げ工程の簡略化

高級ブランドのような職人による天然起毛仕上げはコストがかかるため、ユニクロは化学処理や機械加工で短時間に仕上げることが一般的だと言われています。

手触りは柔らかくなりますが、繊維にややダメージが出やすく、摩耗や毛玉の発生が早まる傾向があります。

ユニクロのカシミヤにおいては、「最初は肌触り良かったから買ったのに、すぐに毛玉ができた」という声もちらほら見られますが、こういった工程が理由です。

ハイブランドのカシミヤが高価な理由

ハイブランドの代表格

まず、ハイブランドの価格について言及する前に、どういったブランドがあるかを整理していきます。

まずはLoro Piana(ロロピアーナ)

世界最高級のカシミヤ原毛を買い付け、自社紡績で生産しており、軽量・極上の光沢は他に無いと言われているほどです。

スコットランドの老舗であるJohnstons of Elgin(ジョンストンズオブエレガン)も、カシミヤというカテゴリにおいては非常に有名なブランド。

天然水での洗浄や伝統的起毛工程が特徴です。

Brunello Cucinelli(ブルネロ クチネリ)もあまり着ている人は見かけませんが、カシミヤ業界では有名な存在。

高級カシミヤにモダンなデザインを融合し「カシミヤの王」とも呼ばれる存在です。

さて、こういったブランドらが作るカシミヤアイテムは何故高いのか、その理由を深堀していきます。

原毛の徹底的な選別

Loro PianaやBrunello Cucinelliなどのブランドは最も細く長い繊維のみを原産地で選別していると言われています。

限られた牧場や山羊からの採取量はごくわずかで、その希少性は価格に反映されます。

伝統工房での紡績・仕上げ

Johnstons of ElginやBallantyneなど、200年以上の歴史を持つ工房では、糸の洗浄・染色・起毛を天然素材で時間をかけて行うため、光沢や耐久性が圧倒的に優れています。

毛玉ができにくいとされ、価格は高いものの、1着で10年以上着られることも珍しくありません。

デザイン・ブランド料

とはいえ、実際には素材や工程だけが価格差に反映されているわけではなく、当然ながらデザイン・ブランド料なるものも存在するでしょう。

高級ブランドは、長年培ったブランド独自のデザイン哲学、クラフトマンシップといった要素を付加価値として提供しています。

こういったところを価格に反映することを是とするか非とするか、ブランド料に対する理解は人によって異なるでしょう。

繊維の長さ・太さと寿命の関係

安価なブランドで採用されがちな短い繊維は摩擦で抜けやすく、耐久性にやや難ありと言われています。

その逆に、繊維が長いほど絡みやすく強度が高いことから、毛玉ができにくく、型崩れも少ない上質な衣類となります。

ケアで変わる寿命

ただし実際には、天然素材であるカシミヤの寿命は、そのケアによっても大きく左右されます。

ハイブランドのカシミヤアイテムを購入する人の多くは、当然ながら服に対する愛着も深く、そのアフターケアについても抜かりなく行っています

  • 保管:防虫剤+通気性のある収納袋に折りたたむ
  • 洗濯:冷水手洗い・平干しで型崩れ防止
  • ブラッシング:使用後の表面整えで毛玉防止

この辺りはある意味でカシミヤに限らず、ウールその他の衣類でも行った方が望ましいケアではあります。

ハイブランドのカシミヤは、こうしたケアで一生物になることもあります。

逆にユニクロなどの手軽な価格帯のものは、個人的にはあまりケアに時間をかけすぎず、数シーズンごとに買い替えるのがベターだと思います。

正直、どちらの買い方も個人的には魅力的だと感じていて、優劣は全く付けられません。

ユニクロのカシミヤは買いなのか?

結局のところ、ユニクロのカシミヤは買いなのか?と疑問に思う人も多いかと思います。

あくまで個人的な見解ですが、今の価格であれば「買い」だと思います。

2025年時点ではクルーネックであれば9,900円(税込)と、前述した海外ハイブランドはおろか、以下記事にあるようなAURALEE(オーラリー)、HERILL(ヘリル)といったドメスティックブランドと比べても圧倒的な安さを誇ります。

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特に年始の限定価格の時期には7,990円(税込)と、カシミヤとは思えない価格になるので、この価格であれば「迷ったら買って損無し」と言えるかと。

実は私も年始に購入を迷ったのですが、個人的にシルエットが気に食わず購入を断念しました。

以下記事でも少し言及したのですが、ユニクロのスウェット・ニット類はどうしても大衆向け故にネック周りが広め、かつ袖や裾のリブ(のテンション)が弱めです。

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個人的に、ニット類は袖、裾共にテンション強めが好きなので、結果として購入は見送りました。

それ以外の点、それこそ肌触りは満足できるものだったので、モノとしてのクオリティ・コスパは非常に良いのでは?と思います。

価格を考えれば、ユニクロのカシミヤは「気軽な贅沢」として最適だと思います。

まとめ

結局のところ、ユニクロのカシミヤは、質がどうとか、一生モノがどうとか、そういった話は抜きにして、圧倒的に安いその価格が一番の魅力です。

トレンドカラーを気軽に楽しみ、2〜3シーズンで買い替えることも可能な価格は、ユニクロの企業努力があってこそ。

一方でハイブランドは「一生物の投資」とも言えます。

着るたびに感じるその質の高さ・満足感と、長く使える耐久性が価格に見合います。

前述の通り、はっきり言ってどちらの選択も悪くなく、ファッションを楽しむうえで大切なのは、自分のライフスタイルに合った選択をすることではないでしょうか。

「安価に手に入れられ、ラフに着られる気軽さ」か「ケアすらも楽しみながら、一着を育てる喜び」か。

どちらを選んでも、カシミヤ特有の柔らかさと暖かさは変わりません。

カーディガンやプルオーバーニットも良いですが、初めはダイレクトにその温かさを感じるグローブ、次いでマフラーが個人的にはおすすめです。

カシミヤ、是非お試しを。

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