近年の日本のメンズファッションにおいて、AURALEE(オーラリー)、COMOLI(コモリ)、NICENESS(ナイスネス)、A.PRESSE(アプレッセ)、MAATEE and SONS(マーティーアンドサンズ)といったドメスティックブランドが圧倒的な存在感・人気を放っています。
いずれもファッション感度の高い層から支持され、「良い服を長く着たい」という価値観のもとで注目を集めています。
本記事では、冒頭で挙げた5ブランドが今これほどまでに人気なのか、そしてこれらブランドに共通する魅力・特徴からその理由を考察したいと思います。
- ①素材への徹底したこだわり|極上の生地から生まれる逸品
- ②余白を残したミニマルデザイン|着る人を引き立てる服
- ③程よく個性のある服|控えめながら際立つ存在感
- ④「通好み」の魅力|情報過多社会で光る匿名性と知る人ぞ知る感
- ⑤日本人デザイナーによる「文化的再解釈」|欧米クラシック×日本の美意識
- まとめ
①素材への徹底したこだわり|極上の生地から生まれる逸品
これら5ブランドに共通する最大の魅力は、何といっても「素材への妥協なきこだわり」です。
AURALEEは設立当初から「自分たちが本当に良いと思う素材を使い、納得のいくものしか作らない」という理念を掲げ、オリジナルの生地開発にも積極的に取り組んできました。
COMOLIも同様に、日本各地の機屋(はたや)と密接に連携し、天然素材の特性を最大限に引き出す独自の生地を生み出しています。
NICENESSに至っては、ヴィンテージウェアに着想を得ながら、当時では実現できなかった品質や織りの解釈で現代的な素材を再構築しています。
「良い服は、まず良い生地から」という考えは今や多くのブランドが口にしていますが、実際にそこまで突き詰めるには莫大な時間とコストがかかるものです。
それを厭わず、更なる良い素材への挑戦を続けている点が、ユーザーに対する信頼と期待を醸成しているのではないでしょうか。
具体的な例を挙げると、AURALEEは、極細ウールを使用した軽やかな「SUPER LIGHT WOOL CHECK SHIRT」であったり、高密度に撚りをかけた重厚な「HARD TWIST DENIM」など、独自性あふれるテキスタイルを駆使しています。
同様にCOMOLIでは、ブランドの代表作であり滑らかなコットン生地の「コモリシャツ」や、ヴィンテージデニムの風合いを再現した「デニム 5Pパンツ」といった、天然素材本来の魅力を引き出したプロダクトを展開しています。

NICENESSはヴィンテージウェアを現代的に昇華させた生地作りが特徴で、1940-19050年代頃のミリタリーチノに希少なスビンコットンを使用した「WEBB」などがあります。
②余白を残したミニマルデザイン|着る人を引き立てる服
これらのブランドは、昨今ありがちなロゴありきのデザインや過剰な装飾に頼ることなく、シンプルなデザインを追求しています。
この「余白」のあるデザインは、着る人の体格やライフスタイルによって自然と馴染み、パーソナルなスタイルへと昇華されます。
つまり、服が主張し過ぎず、着る人自身を引き立てる設計がなされているということでもあります。
大量消費型のトレンドアイテムが氾濫する現代において、こうした「普遍的にも関わらず個性が滲み出る服」への回帰は、多くの人にとって魅力的に映るのではないでしょうか。
A.PRESSEのアイテムを例に取れば、ヴィンテージウェアをベースとしながらも、現代的なシルエットや縫製によって「さりげなく格好良い」バランスを実現しています。
一例として、1950年代頃の501xxをモチーフにした「Washed Denim (Wide) Pants」や「Type-1 Denim Jacket」などがあります。

これらはベースがヴィンテージデザイン故、シンプルな作りではあるのですが、そのクオリティの高さから非常に人気のアイテムとなっています。
私自身、数多くの加工デニムを買ってきましたが、上記写真の通り、A.PRESSEのデニムはその中でも極上のクオリティです。
COMOLIは「日本人が日本の気候で心地よく着られる日常着」を掲げ、極めてシンプルなデザインの中に緻密なパターンワークと計算されたゆとりを取り入れています。
例えば「ウールシルク」のアイテム類。
ジャケットやパンツ、ブルゾン等、多くのアイテムに採用されているこの素材は、日本の湿潤な気候でも蒸れずに快適に着られる工夫が凝らされています。
スーツスタイルのようなテーラリングも独自に解釈し、肩パッドを廃した軽やかな仕立てで、「構築的なのに柔らかい」雰囲気を持つのが特徴です。

③程よく個性のある服|控えめながら際立つ存在感
今回紹介している5ブランドのアイテムに共通しているのは、②で述べた通り、「一見するとシンプルなアイテムが多い」という点です。
しかしながらその中に存在する「派手過ぎない個性的なアイテム」も人々を惹きつける魅力の一つとなっています。
「シンプル過ぎるとつまらない」といった層にもしっかりと刺さるアイテムを多数取り揃えています。
例えばMAATEE and SONS。
無地スウェットも人気のアイテムですが、以下のような「PRINT SWEAT」もリリースしています。

万人に受けるアイテムではないでしょうが、無地ばかりではなくこういった癖のあるアイテムがあることを評価する人も多いでしょう。
また、MAATEE and SONSは「俺のチノパン(俺チノ)」や「ドゥルン」といった個性的なアイテム名称を付けることも多く、この点も非常に個性を感じます。
ちなみに以下は私物の俺チノですが、素材感・シルエットがあまりに好み過ぎて2色買いしています。

個性的な名称と言えばNICENESSもその類です。
アイテム名に人名を冠するユニークな命名も、さりげないながらもブランドの世界観を感じさせる仕掛けのひとつといえるでしょう。
例えば以下のアイテムは「Nicolas」という名称です。

このアイテムも実は非常に個性的で、ハンティングベストとアウトドアベストの仕様がミックスされている、中々見かけないデザインとなっています。
④「通好み」の魅力|情報過多社会で光る匿名性と知る人ぞ知る感
SNSやECサイトを通じて情報が瞬時に拡散される現代では、「誰もが知っているトレンドアイテム」への興味は薄れつつあります。
代わりに「知っている人だけが知る良品」「わかる人にはわかるこだわり」を備えたブランドへの憧れが強まっているように感じます。
AURALEEやCOMOLIは2010年代半ば~後半から既に一部の感度の高い層に支持されてきましたが、その人気がここ数年で爆発的に拡大しました。
その背景には様々な理由があるかと思いますが、その一つには「匿名性のある良質な服」を探す動きがあると考えられます。
A.PRESSEやNICENESSも同様に、「目立つロゴが無いので一見してブランドがわからないが、着ている人を見ると良い服だとわかる」という絶妙な立ち位置を確立しています。
この「知る人ぞ知る感」は、ファッションを深く楽しむ層の所有欲や自己表現欲求をうまく刺激していると考えられます。
AURALEEの「SELVEDGE FADED LIGHT DENIM」はロゴレスながら、生地の色落ちやシルエットで通好みな存在感を発揮します。
NICENESSの「LOWE」についても、パッと見ではシンプルなバッグではあるものの、目の肥えた人には一目でわかるデザインとはなっています。
しかし、不自然にロゴ等を押し出しているわけではないので、まさに知る人ぞ知る存在。

このバッグも定番アイテムながら、毎シーズン非常に人気があります。
こういったアイテムをリリースすることでブランド側も大規模広告やコラボよりも、「購入者からの口コミ・レビューと実物の説得力」でファン層を拡大しています。
この「知る人ぞ知る感」が、所有欲や自己表現欲求を刺激しているのです。
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⑤日本人デザイナーによる「文化的再解釈」|欧米クラシック×日本の美意識
これらのブランドは、「海外で生まれた洋服」へのリスペクトを持ちながら、日本人デザイナーならではの繊細な再解釈を行っています。
AURALEEの岩井良太氏やCOMOLIの小森啓二郎氏は、欧米のクラシックウェアやヴィンテージをベースにしながら、日本の四季や生活文化に即した「新たな解釈」を加えています。
たとえばCOMOLIの「カシミヤ和紙シャツ」は日本伝統素材「和紙」を使い、欧米ドレスシャツを日本の気候向きに仕立て直した逸品です。
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A.PRESSEの「Tweed Tailored Jacket」はアメリカンスタイルのノッチドラベルのデザインをベースにしながらも、日本人の体形に合うジャケットに仕上げています。

こうした「海外発祥である洋服」の「日本らしい昇華」こそ、国内外で評価される理由といえます。
まとめ
AURALEE、COMOLI、NICENESS、A.PRESSE、MAATEE and SONSは
- 素材へのこだわり
- 余白あるデザイン
- 程よく個性のある服
- 通好みな匿名性
- 日本ならではの文化的再解釈
という5つの要素を含んでおり、それらが人気の秘訣となっていると考えています。
これらは、現代の「流行ではなく、自分にとって本当に価値ある服を選び、長く愛用したい」という価値観にマッチしているのでないでしょうか。
当然、ファッションなので流行り廃りはあるでしょうが、前述の通りこれらブランドは流行に流されない独自のアイテムを多くリリースしており、その根底がある限りしばらく人気は続くと思われます。
人気・即完売のアイテムも少なくありません。
ぜひ皆さんも一度、店頭で実物に触れ、その魅力を体感してみてはいかがでしょうか。



